カミに戦いを挑むとは愚か
【敗北】書類スキャンツールを作るしかないと思った。

はじめに ~立法事実~
”立法事実”という言葉があります。
AI曰く、『立法事実は、法律が制定される基盤となった社会的な事実であり、法律の必要性や正当性を支えるものです。これは、統計データや世論、当時の社会状況などを指し、立法目的とその達成手段の合理性を裏付けます。立法事実が変化したり失われたりすると、その法律が違憲と判断される可能性もあります。』
簡単に言うと「需要」に近いイメージですが、法律というのは言葉の定義が厳密なので、専門用語を作ってしまう方が便利なのです。AIさんに簡単に説明してもらいました。
需 要:人々が“求めていることが明確に示されている”状態
立法事実:法律を作る根拠として認められる、客観的・具体的な事実
どちらかというと今までのツール開発は、「勝手に供給」というパターンがほとんどでした。しかし今回は、より「需要」に近い理由、そしてさらに需要よりも根拠が明確かつ客観的・具体的事実がある「立法事実」に近い根拠から作る必要に迫られたという開発経緯がありました。20XX年現在の、荒廃した社会状況を鑑みると絶対必要不可欠なツールだということなのです。ヒャッハー!
つまり、単なる需要ではなく、統計データや世論、社会状況によって必要とされているという事実がありましたので以下に提示します。
🍛
1.背景 ~社会的状況~
まずは、我々を取り巻いている状況を確認しよう。
DX化がちょっとずつだが確実に進んでいる昨今、報告書などの書類は電子メールやクラウドを利用して、一瞬で送ることができるようになった。
このため、提出期限などに対し、かつて郵送の際にかかっていた数日間分の余裕ができている。また、色々な場面で、期限や期間が長くなっている。これは電子データの方が、ファイリングやデータの吸い上げという面で、圧倒的に優れているからだ。
だがしかし、いまだに紙の報告書は存在していて、たとえ現場で報告書が完成していても、郵送の場合は以下の手順を踏むことになる。
現場 > 事務所 > 郵送
あっという間に、2,3日が消費され、かつ日をまたぐことで提出自体を忘れてしまう恐れも出てくる。
さて、この状況で筆者(開発者)は、報告書の提出を待っている立場である。しかも単に待っているだけではなく、そのあとに作業がある。受取り後に電子化し、別の電子書類と合わせて保管、さらにそのすべてをセットにして上に送付しなければならないのだ。
ー某年某月某日ー
とっく現場は終わっているはずなのにいつまでたっても報告書が送られてこない。現場終了の2日後ぐらいからずっと、今時めった使わなくなった「郵便ポスト」を1日に1回は見に行っているが、その度に失望と苛立ちというメンタルダメージを受けている。
「たった1回なんてたいしたことじゃん」と言われるかも知れぬが、それは違う。
ポストを開けるたびに、ホヒィという金属の擦れる物悲しい音が夕闇に響きわたる。そして中に入っていた紙々が、単なるゴミ(チラシ)でしかないと気づいた瞬間、それはそれは虚しいものなのだ。ヒィホ~
そんなわけで「くそ、もうこんな生活いやだ!」となり、相手に連絡してみた。
「ごめん、まだ送ってない。」 絶&望!!
もういいです、スマホで書類を撮影して送ってください。
それでいいです。あとは何とかします。
・・・
そうして、ほんの一握りとはいえ、書類が写真で送られてくるわけです。そんな経験、あなたもあるでしょう?
🍺コラム「写真データのままでもよくなくない?」
Answer : ダメです。
写真(画像データ)というものは非常に加工がしやすいものです。スマホでもPCでも加工するための敷居が非常に低く、本当に誰もが簡単に改ざん出来てしまいます。そこで必ずPDFにする必要があるのです。PDFも加工は可能ですが、ある程度敷居が高く、加工された場合はほぼその足跡が残ります。
2.世論 ~オレのメンタルこそ最重要~
ここで、世論である。(n=1)
まぁ、初めから写真でもいいのだが、そうなると筆者のちょっとした作業が増えてしまう。写真から書類を切り出し、PDF化するという非常に単純な作業ではあるのだが、慣れた作業ではないのでメンタルダメージは結構大きい。
①写真を開く > 無駄に高画質でいらつく。
②ちょっと斜め > 補正方法を知っているがゆえに、手動補正してしまう。
③切り抜いてPDF化 > 若干ズレてやり直す。大した違いはないのが、職業病。
④結合する > 複数枚のPDFを結合。Abobe重いのでイラつく。
※こめんなさい、嘘でした。PDF結合は使い慣れた自作ツールがあるのでストレスフリーです。
・・・紙だったら、スキャナーにぶっこんで終わりだ。
オートフィーダー(自動紙送り機)の調子が悪くて、斜めになっても、ここは気にしない。何故なら自分のスキルは無関係だからだ。
つまり、最初からPDFで送られてくれば、我々のような真面目な国民のちょっとしたコダワリの入り込む余地などないので、また世界から苛立ちが1つ消え、平和で穏やかな日常が取り戻されるのである。
頼むからそっちでPDFにしてから送ってくれ!
\(# ゚Д゚)/
3.統計データ ~数字は嘘をつかない~
いかに世論が解決策を求めているのか、おわかりいただけただろうか。
それでは次に、統計データを確認してみよう。
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統計データ (n=4)
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<紙の書類の残存状況>
・出先で速報を送りたいが、報告書は紙ベースである。 75%
・紙の書類じゃないとなんとなく不安。 25%
・なんやかんやで紙の書類が身の回りに結構ある。 100%
<紙の書類をPDFで送れない理由(複数回答)>
・スキャナーを持っていない 25%
・スキャナーを使えない 25%
・スキャナーを使うのが面倒 25%
・スキャナーでデータ化したはずだが、そのファイルの場所がわからない。 50%
・コンビニなどのスキャンサービスは使えない。(使いたくない) 100%
・アプリをインストールできない。(しなくない) 100%
・Webアプリは使いたくない。(セキュリティが心配) 100%
<装備や能力の調査結果>
・機械音痴である 75%
・スマホを持っている 100%
・メールを送ることはできる 100%
・メール添付で写真を送ることはできる 100%
・スマホでWEB検索はできる 100%
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データからわかるのは、まず、紙の写真に写った書類をPDF化する、という作業は、なかなかにハードルが高いということだ。
特に、機械やPCが苦手なタイプの人間は、そもそもスキャナーを使うということに対して抵抗があるようだ。また、アプリやコンビニなどは、セキュリティリスクがゼロとは言えない。(そのリスクは永遠にゼロにはならないのだが。)
Webアプリもログインが必要だったり、サーバーへのアップロードが必要だったりするので、セキュリティリスクはある。
一方、機械が苦手でも、スマホを持っていて「カメラでとった写真をメールで送る」という作業は可能のようだ。すなわち、ログイン不要、アップロード不要なWebアプリさえ存在すれば、万事解決!というわけだ。
4.カメラで撮った書類を、即PDF化するツールを作ってやったぜ!
さて、上述のような立法事実ならぬ開発事実があったのだが、約20時間の開発期間を経て、ようやく完成したツールがこちら。

書類スキャナー:https://jpn-lab.com/tool/document-scanner/
当初、精度をあげるために様々な機能を付与していったのだが、だんだんとツールのファイルが重くなったり、細かな調整ボタンが増えていったりしてしまい、「直感的に使えるツール」という本来の目的からズレていったしまった。そこで、精度は高くないが、軽量・単純で、かつ手動調整が簡単、という方針に変更した。取り敢えずハードルを下げることこそ、新しいものが苦手なユーザーにも使ってもらえる可能性が高まる、というわけだ。
とにかく非常に簡単なツールだから、是非お試しあれ!!
5.結果 ~見たくなかった統計データ~
誰も使わんし、状況に変化なし。何故だ。
ワタクシは謝罪しなければならない。
ごめんなさい、先に提示した統計データを一部意図的に隠ぺいしておりました。
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統計データ (n=4) ※隠ぺい分
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<紙の書類をPDFで送れない理由(複数回答)>
・忘れていた 75%
・やる気がない 50%
・面倒くさい 100%
・新しいものは嫌い 75%
・酒を飲んでいた 25%(筆者)
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え、そんな理由?
なら、そもそも簡単・便利なツールの有無なんて関係ないだろ!
一体何のために20時間もの開発時間を費やしたんだ?
(作る前からわかっていたことなので自業自得だが。)
しかし、開発者の端くれとして今回「面倒くさい」というハードルだけは、グッと低く出来たという自負はあった。だから、もしかしたらという淡い期待を込めて完成したツールを勧めてみたのだが、状況は何も変わらなかった。
まぁダメだろうなと薄々わかっていたとはいえ、実際に誰も使ってくれないという事実によりオレのメンタルは大ダメージを受け、世界から平和がまた1つ消えた。
6.エピローグ ~違憲審問~
冒頭に揚げた立法事実についての説明を覚えているだろうか。
『・・・立法事実が変化したり失われたりすると、その法律が違憲と判断される可能性もあります。』
<審問官A>
そもそも”立法事実”となった統計データに虚偽があったとすれば、むろんこれは違憲である。
また、一部の統計データおよび社会状況は根拠として認めうるが、当該法律は、これに対する解決策として機能していない。そもそも誰にも使われないのだとすれば、ゴミでありクズであり害悪でしかない。そんなモノは即刻破棄すべきである。
<審問官B> 禿同。
<審問官C> 禿同。
<審問官D> 禿同。
<審問官長>
カミにあらがうな。カミを冒涜するな。カミを崇拝せよ。
被告ツールの破棄を命ずる。ついでに作った奴は○刑。 以上!
こうしてカミとの戦いに敗れたマッド開発者は○刑に処され、マッドツールはネットの海の中に深く埋もれていったのであった。
おしまい